遺品整理は、亡くなった方の持ち物を遺族が仕分けていく作業だが、これと対をなす取り組みとして近年注目されているのが「生前整理」である。本人が元気なうちに自分の持ち物や必要な情報を整理しておく生前整理は、将来の遺品整理そのものの負担を軽くする準備でもある。法務局や政府広報オンラインが紹介している考え方をもとに、何から手をつければよいのかを整理する。
生前整理と遺品整理はどう違うのか
遺品整理では本人の意思を確認できないまま遺族が判断を重ねる作業になりがちだが、生前整理は本人自身の判断で進められるため、何を残し何を手放すかを自分の意思で決められるという違いがある。始める時期に法律上の決まりはなく、年齢や健康状態にかかわらずいつ着手してもかまわない。法務局が司法書士会と共同で作成し窓口配付しているエンディングノートの案内でも、終活を通じてこれからの人生をより明るく前向きに過ごしてもらうことが目的として説明されており、生前整理は「亡くなる準備」というより「これからの生き方を整える機会」として位置づけられている。特に一人暮らしの高齢者や、家族と離れて暮らしている場合は、日頃から何を伝えておくかが後の遺族の負担に直結しやすい。
エンディングノートに何を書いておくか
エンディングノートに法的な効力はないが、家族が相続や各種手続きを進めるときに必要な情報を残しておく手段として、法務局や自治体も作成・配布を後押ししている。前述の法務局の案内では、法務局や司法書士が扱う相続・遺言・後見といった手続きに関する情報がわかりやすくまとめられており、家族に必要な情報を書き残すためのノートとして活用できるとされている。財産の全体像や希望をあらかじめ書き残しておけば、遺族が本人の意向が分からないまま判断を迫られる場面を減らせる。
遺言書を残すという選択肢
財産の分け方について明確な意思がある場合は、エンディングノートとは別に、法的効力を持つ遺言書を作成する方法もある。自筆で書いた遺言書は、法務局に保管を申請できる自筆証書遺言書保管制度を利用すると、法務省の案内にあるとおり相続開始後に家庭裁判所での検認手続が不要になり、相続人の手続きの負担を減らせるとされている。この制度は、単身世帯や子のいない世帯の増加、障害のある子や疎遠な親族がいる場合など、相続関係が複雑になりやすいケースでの利用が想定されている。申請には手数料がかかるが、具体的な金額は各法務局の案内で確認できる。もう一つの方法として、公証役場で作成する公正証書遺言があり、こちらも検認が不要となる。
家族との話し合いが遺品整理の負担を左右する
生前整理を進めるうえでもう一つ重要なのが、家族との話し合いである。政府広報オンラインが公開している相続の基本に関する記事では、大切な財産をトラブルなくスムーズに引き継ぐためにも、基本的なルールを理解し、必要な準備を行ったり家族で話し合ったりすることが大切だと説明されている。同記事では、遺言書に付言事項として家族への感謝や思いを書き添えることや、相続人全員で行う遺産分割協議によって合意点を探ること、残された配偶者の生活を守る配偶者居住権を検討することが、相続人同士の争いを防止する効果につながると紹介されている。財産の一覧や希望を本人が一人で抱え込まず、早い段階から家族と共有しておくことで、後の遺品整理や相続手続きが円滑に進みやすくなる。財産の話は切り出しにくいことも多いが、本人の生前に情報を共有しておくことが、結果的に相続人間の合意形成を助けることにもなる。
まとめ
生前整理は、遺された家族の負担を軽くするためだけでなく、本人自身がこれからの生活や気持ちを整理する機会でもある。エンディングノートで情報を書き残す、必要に応じて遺言書を用意する、家族と話し合っておくというそれぞれの取り組みは独立したものではなく、組み合わせることで初めて効果を発揮する。特別な準備を一度に終わらせようとせず、まずは書けるところから少しずつ書き足していく姿勢で取り組むとよいだろう。

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